N冥王星とトランジットの土星の合について②

このトランジット下で起きるもう一つの傾向は
バランスの均衡が崩れ、異常な状態の中に
置かれがちであるということ、そのことによって
心理的な自由を奪われやすいということです。
職場では上司の過大な要求に苦しむ。
パートナーからの抑圧や
友人や恋人からの過剰な依存などでエネルギーを奪われる。
グループから重い責任を背負わされたり、仲間に入れてもらえず疎外感を感じる。
あるいは、自分や家族が病気になり、自由がきかなくなる、など。
テキストには政府など公的機関に拘束されたり、重い義務を課せられたりする
という記述もありますね。
ハウスによっては多重債務などにも関連するかもしれません。
要は重圧や束縛から、囚人のような気持ちを味わいやいのです。

チャートの方は２００７年～２００９年、Ｔ土星が乙女座を運行中のとき、
ある宗教団体に所属していました。
木星は宗教、信仰を司る天体ですが、土星ー冥王星、天王星とＴスクエアを形成。
教祖が選んだ男性信者との結婚話を強引に進められそうになって
脱会したのだとか。
この方は脱会した今でも、他の信者の人たちから
どう思われていたかすごく気にされていました。
あらゆる酷い押し付けを受けた場所。
でもこの時期、彼女の居場所はそこだったのです。
うんと過酷な環境の中で、
「ここは自分の居場所じゃない、逃げよう」と
行動に移せる人は、きっと大切に扱われて育った人。
酷い環境でも、他に行き場所がないと子どもの頃から
絶望する習慣がついていたら、
そこを出ては行けないでしょう。
逃げ出せたから、まだ良かったけれど
宗教の教えにはしばしば＜脅かし＞が含まれている場合があります。
彼女の場合は「脱会すれば、先祖霊が苦しみ続ける」という教えでした。
＜脅かし＞は相手を支配するため、操るための手段。
「そんな脅かし、信じなければ済むこと」と思います。
彼女も昼間はそう思っている。
けれど、夜になったら眠れなくなる。
脅かしなんかじゃなくて、本当だったら。
彼女はお父さんとお母さんを既に亡くされていました。
もしお父さんとお母さんが自分のせいで苦しんでいたら。
Ｎ冥王星とＴ土星の合に関わるＮ、Ｐ天体や、
この合の起きるハウスによって
どの分野でこのトランジットの影響を受けるか
予測できます。
この時期の試練はやがて終わりを迎えます。
なので、うんと重く影響が来ている人も
呼吸だけは続けて、ということと、
後生大事に思っていたものをそぎ落とすので
タフでスリムになれるということ、
この期間の出来事を評価できるときが
いつの日かやってくるということを伝えたいです。
＜脱皮＞という言葉がしっくりくる気がします。
窮屈になった古い皮を脱ぎ捨てるのは、難しいし、苦しい。
けれど、その後はひと回り成長しています。

この方はもうすぐＰ太陽が獅子座から乙女座に着地。
Ｐ月もＮ太陽に近づいています。
新たなスタートに向けて、今は浄化の時期。
少しづつ、少しづつ、ゆっくりと大丈夫になって
眠れる夜がだんだん増えていきますように。