デシル

編集者のチャートでタイトなデシルを見ることがあり、
企画やアイデアを通していく力という認識を持っています。
どんな作品やアイデアも会議などで企画が通らなければ、雑誌の載ることも
本に載ることもなく、宙に浮いたり消えていきます。
作家が出版できるのは、編集者の力に拠るのです。
デシル<decile>は36度。円を10分割したアスペクトです。
タイトなものはHN5図で衝、極めてタイトなものはHN10図で合になります。
キンタイル72度、トライデシル108度、バイキンタイル144度
などのアスペクトと同属で、アイデア、創造性に関連づけられています。
以前、イラストの仕事をしていたとき、
イラストレーターの同僚たちが「作品は子どもか、ウンチか」という議論で
盛り上がっていたことを思い出します。
<子ども>だという人は、自分の作品が掲載されたものを
きちんとスクラップしていたし、
どちらかというと<ウンチ>という人は、
過去にこなした大量の仕事を把握していませんでした。
子どもだと思おうが、ウンチだと思おうが、
体から生み出され、身ふたつになったもの。
自分の手を離れ、動き出しているもの。手直しが効かないもの。
HN10図では生み出された成果や結果が
環境にどういう影響を与えていくかが現れます。
デシルは着地する力、アイデアやイメージを落とし込んで
いく能力に関連しています。
表現したいビジョンや壮大なイメージはあっても
落としどころを見つけられない人は意外と多いです。
デシルを活用している人は「場」を見つけます。
着地しない人たちからは「ちまっこいところで満足して」と
批判されることもあるかもしれません。しかし本人にとって
小さかろうが平凡であろうが、具体的にスタートすることは大きな喜びです。
オーブは2度。タイトなものほどHN図でアスペクトが崩れず、
特徴的な性質になります。
どういう働き方をするかは、天体の組み合わせで推察します。
デシルは比較的良く見るアスペクトなのですが、
サンプルとして、ある小学4年生の男の子のチャート。
renjpg.jpg
水星ー火星ー冥王星のデシルとキンタイルの小三角、
太陽ー金星もデシル。
お母さんは体育会系の厳しい人で、
子どものおねだりなどはほぼ却下。
でもあっさりあきらめて引き下がられると、
「その程度の気持ちしか持ち合わせてないのか!」と
ふがいなく思ってしまうのだとか。
なので「もっと本気を見せろ!親を説得してみろ!
おねだりではなくプレゼンしてみろ!」という
教育方針なのです。
(お母さんもデシル&キンタイルを複数持っています)
おそらく親が優しく、何でも買い与えていたら、
デシルは無用の長物だったでしょう。
拒否されたとしても、
次々と代替案を提示し、自分の願望を通そうとする。
「良い子にしていたら、そのうちにね」などと
言っても納得しない。
粘り強く食い下がってくるし、
かなりしつこい性格になってしまったそうです。
親の方としてもこの方針は子どもへの約束事を取り付けやすいので
成功している面もあるけれど、最近は親以外の大人たちに
<プレゼン>し、欲しいものをコンプリートしていくといった
用意周到さが現れているとか。
みんな彼の熱意に根負けし、要求を聞いてあげる。
押しが強くあつかましい。
どうしても要求が通る見込みがなさそうなら、
引き下がって時期を待つ。
拒否されても、凹まない。
一応、精一杯頼んでみたということで
後悔が少ないのでしょう。
この<人に頼む>ということじたいが苦手な人も多いです。
人に何かを頼んだり、お願いすることはその人に借りをつくることでもあります。
自分も虫の良いことばかり言ってられません。
しかしいろいろと働きかけて親や大人を説得する経験は
社会に出て、やりたいことを実現させるときに必要な能力になるはずです。
創造力のもとは、情熱だと思っています。
情熱がなければ人の心を打つ芸術は生まれません。
情熱を持って障壁を突破していくことで、人生は変わってくるし
人もまた、人の熱意に反応します。
マイナーアスペクトは採用しないという方は多いですが、
影響力が弱いわけではないと感じます。
表には出にくい心のクセであったり、言葉にしにくい特殊な感覚であったりします。
もしチャートにデシルがあるなら、ハウスや天体をチェックし
考察してみてください。
情熱が現実化しやすい素質や分野が見えてきます。

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コメント

コメント一覧 (17件)

  • リマーナすず先生、ご無沙汰しています。
    デシルの記事興味深く拝見しました。
    私のチャートにもありました☆
    11h獅子座・火星24度と、12h天秤座・冥王星1度です。
    踏まれても蹴られても、ターミネーターのように
    次の目標を見つけようとする必死さ加減とか、
    自分なりの決着をつけるまで止めないしつこい感じは、
    これなのかな?と思いました。
    いつも勉強になる切り口、ありがとうございます^^

  • リマーナすず先生、はじめまして。
    以前は少し鑑定をさせていただく機会もありましたが、
    最近はもっぱら勉強ばかりになっています。
    しばらく前からこちらを拝見して、専門的なリーディングのテクニックもですが、
    スタンスも大変参考にさせていただいております。
    マイナーアスペクトは補助的にたまにみるぐらいでしたが、
    まったく自分では使わなかったデシル、大変面白いです。
    工夫や人との間では取引をする際のテクニックとして使われるのですね。
    家族やかなり近しい間柄ならば実感しやすいのかも。

  • ☆松本のSさん、コメントありがとうございます!
    お久しぶりです!お元気ですか?
    火星-冥王星はたしかにターミネーターっぽいですよね(笑)
    中途半端にあきらめてしまったら、先はないし、
    決着をつけることに関係するのかもしれません。
    Sさんは太陽-セレスもデシルで、
    ご主人のことを育てるのは上手かもしれませんね☆

  • ☆白猫さん、コメントありがとうございます!
    デシルは両親、家、先生、上司、会社など
    障害になりがちなものに
    アプローチして物事を通していく意欲にも
    関係するし、欲求を実現させたい気持ちの強さとしても
    現れると思います。
    マイナーアスペクトがどういう心の働きに関連づけられるか
    すごく興味があります☆

  • すずさま、お久しぶりです。
    デシル―一つだけ持っています。
    私は木星に内惑星のメジャーアスペクトがなくて、
    つねづね、さびしく(笑)思っているのですが、
    今回の記事でマイナーアスペクトでも
    影響が大きいんだな~と興味深く拝見しました。
    金星、ドラゴンヘッドと木星がぴったり36度です。
    火星、土星、海王星も絡んでいるので
    キラキラした夢や憧れの世界を
    形にしたい情熱、しつこさはまさに私の原動力。
    着地点を見つけたい-
    うん、この言葉、魂の叫びにしっくりきます。
    でも、欲しいものを欲しいっていうこと、
    人に頼むことには苦手意識あります~。
    (土星の影響ですよね~)
    よく母に
    「そんなにそうしたかったなら、
    最初から、もっと本気で頼めば良いのに。
    そしたら、応援してあげたのに」
    と言われたものです(苦笑)
    うちの母も、情熱大好き体育会系です☆
    最初から、着地点が見えていれば、
    簡単なんですけどね…。
    デシルを持っていると、
    プレゼン力を磨かざるを得ない機会に遭遇しやすい人生
    ということになるのかしら?
    与えられるものに満足しない気質はあるなぁと感じます。
    デシルはある意味、
    現状に対する不足感を与えるアスペクトなのではないでしょうか?

  • すず先生、こんにちは。デシルというアスペクト、初めて知りました!
    早速チャートを見てみると、5H海王星━6H金星━8H太陽━9H火星
    が全部デシルでつながっています。
    たしかに、仕事をしているときは「アイデアマン」と言われることが多かったり、子どもの頃は女子も男子も性別区別なく遊ぶことがとても楽しかったり(太陽水瓶の影響もあると思いますが)でしたが、今は占星術の勉強以外では、使えてないな~が実感です。
    マイナーアスペクトって本人も自覚していないような、その人の素のままの個性が現れてるように感じます。
    でも、それが一番その人の本質を突いているような気がするので、大事なアスペクトなんだろうと思います。

  • ☆かのんさん、コメントありがとうございます!
    お久しぶりです☆お元気ですか?
    そうです、そうです!かのんさんのおっしゃる通り、デシルは
    現状への不足感を与えると思います。
    そしてデシルは「目論む」のです。
    キンタイルの半分の度数だから、
    ブレイクポイントにも関係すると思います。
    心の中ではこうしたい、
    ということを持っているのがデシルですから、
    チャートにストップをかける要素がなければ
    目論みを行動にしていくと思います。
    プレゼンする機会も多くなるかもしれませんね☆

  • ☆ぴょんさん、コメントありがとうございます!
    ぴょんさんはキンタイル、デシル多いですよね♪
    SGでは出ないんだけど、海王星は火星と
    トライデシルになります。
    実技や訓練で伸びる才能を
    意味するアスペクトです。
    HN10も強いです。チャートの西側にあるので、
    誰かのため、とか誰かに求められて、といったように
    他人によって掘り起こされる資質なんだと思います。

  • はじめまして。デシルで検索してここにたどりつき、記事を興味深く拝見させていただきました。
    実は別の占星術家の人に、チャートに基づいた自分性格診断(ネット経由)をお願いしたのですが、その診断書にセミクィンタイル(デシル)が多くあったので気になって調べていた最中でした。
    私は太陽星座と月星座が山羊座で、ACは魚座、MCは射手座です。太陽(10h)と土星(9h)、月(10h)と金星(12h)、水星(10h,MC)と木星(11h,AC)、木星と天王星(10h,MC)、土星と海王星(10h)と5つデシルもあるのです。このうちの木星と天王星のデシルが「あなたは神に最も信頼された、神に最も近い存在であり、天の指導者から自然な導きを受けている」というものでした。
    あまりに現実離れしたメッセージだったので、なんかもっと地に足の着いた解釈とか具体的な活用法がないものかと思って探していました。ですが、どこをみてもセミクィンタイル自体がマイナー扱いだったので、この記事の説明と具体例はとても参考になりました。

  • ☆TMさん、コメントありがとうございます!
    お返事遅くなってすみませんでした。
    チャートにたくさんデシルがあるのですね。
    出生図とHN10図を重ねてみると
    デシルがどのように焦点かされるかが
    見えてきます。
    太陽、月が山羊座、10ハウスを頂点にした
    デシルですから、社会的な野心を具体的に実現させていく
    エネルギーは強いと思います。

  • リマーナすずさん
    返信ありがとうございました。そうですね、自分には確かにそういう志向性を持っています。幼稚園や小学校の時から「なぜ自分はここにいるんだろう?」という疑問にふと悩まされ、自分が届かない世界に思いを馳せることがありました。具体的にどこどこへ行きたい、というのがあるわけではなく、ふっと自分のいる立場に疑問と不満を感じることがあったのです。
    その志向は成長するにつれて強くなっていくのですが、自分は決して我が強いわけではないのです。どちらかといえば温和で優しい性格で競争には弱いタイプでした。壮大なビジョンを描く割には、自分の力不足ばかりを感じ(技量や経験の問題だけでなく、持久力とか精神力の面も含める)、また「自分がどうなりたいか?」という部分が抜けてしまっているため、就職活動なんかで志望動機を話していても「あれ?自分の気持ちってこの程度だったのか?」と自分で落胆してしまうことがあります。
    この記事の「表に出難い心の癖」「言葉にできない特殊な感覚」というのを見てピンとくるものがありました。天使とも悪魔とも区別のつかないような何かに引っ張られているような感覚、世俗的な物事に対して超然とした態度を取りたいという思いがある一方、単なる厭世ではなく世の中をコントロールしたいという言葉に出し難い強い想い、これらがある一方で決して強くない現実の自分との隔たりに悩まされています。その原因がこの記事で少しわかった気がしました。

  • 先日はありがとうございました^^
    石塚先生の講座で、ヘッドと冥王星のタイトなクインデチレが、かつて強烈な形で表現されていたことを知り、マイナーアスペクト恐るべしっ((;゚Д゚)) という感じです(笑)
    びっくりすると同時になんだか謎が解けてスッキリしました(笑)
    私は、土星と海王星が1度未満のタイトなデシルです。(36.78度)
    ASCが山羊ですし、土星は、月とトライン、火星とオポ、太陽とタイトなインコンジャンクトと、土星の力を上手く使っていくことが自分を支えてくれるような気がしています。
    サターンリターンをひかえて、土星の有り難みを実感している感じです。
    このデシルを見ていると、土星の力を引き出して扱える自分になっていけるようコツコツと頑張りたいな、という気持ちにさせられます。
    本当、親のように導いてくれる存在だなと思います。
    すずさんのところに通うようになって、石塚先生との素晴らしいご縁も頂き、とても感謝しています。
    ハーモニックに関しては知らないことだらけなので、またすずさんのブログなどで勉強させていただきたく思いますm(_ _)m

  • すず先生、こんにちわ。
    36度というアスペクトにも名前と意味があることを初めて知りました。
    さっそく自分のチャートからオーブ2度としてデシルを探してみると、
    ①火星(5)ー冥王星(6)、
    ②ドラゴンヘッド(4)ー天王星(6)ー月(6)ー海王星(7)
    ③MCー土星(11)ー木星(12)
    >デシルは着地する力、アイデアやイメージを落とし込んでいく能力に関連しています。
    >表現したいビジョンや壮大なイメージはあっても落としどころを見つけられない人は意外と多いです。
    >デシルを活用している人は「場」を見つけます。
    計算ちがいでなければ、私にも複数デシルがあることがわかったのですが、イメージや願望は内在するばかりで何一つ落としどころが見つかっていない感じです。
    どの星とどのハウスでどういうイメージや願望になるのかも今ひとつわからないので、検証もできないのですが。
    デシルとは気持ちやイメージばかりですっきりしない、思い切って言ってみても理解されないと感じるポイントなのでしょうか?
    思っているだけで言語化できない→言ってみても通じない→家族、社会の中で孤独を感じる→とりあえずその場にいるが人をあてにしない、というパターンが私の人生観で定着してしまっていて、デシルはまるで活かされず自分にも理解されずにいるポイントのような気がします。
    でもそうしたものもアスペクトに表れていて、検証する契機になればよいのでしょうね。

  • ☆美菜さん、コメントありがとうございます!
    先日は勉強会に参加していただきありがとうございました!
    土星と海王星がデシルを持つのですね。
    ヒーリングという人の心の傷に携わるお仕事をされていて
    クライアントさんひとりひとりに最善をつくそうと
    さまざまな工夫を重ねる資質は土星-海王星のデシルに
    現れているのかもしれませんね。

  • ☆nopさん、コメントありがとうございます。
    たしかにデシルの多いチャートですね。
    >思っているだけで言語化できない→言ってみても通じない→家族、社>会の中で孤独を感じる→とりあえずその場にいるが人をあてにしな>>い、というパターンが私の人生観で定着してしまっていて、デシルはま>るで活かされず自分にも理解されずにいるポイントのような気がしま>>す。
    月と天王星のデシルなのでアイデアや企画力はあるものの
    先を行き過ぎていて理解されにくかったのでしょう。
    自己実現を目指す「場」が適切ではなかった可能性もあります。
    HN10の月-天王星を出生図に移植した場合、3ハウスになるので
    勉強やコミュニケーションの面で突出できる可能性があります。
    また木星、土星、MCは遅咲きになりますが信頼できる人柄を作ります。

  • 月と天王星のデシルはどう読めばいいでしょうか。
    HN10では射手座初期度数でコンジャンクションし、出生図では10ハウスに入ります。

  • ☆濱田さん、コメントありがとうございます。
    >月と天王星のデシルはどう読めばいいでしょうか。
    固定観念や先入観を排除したユニークな発想を
    現実との軋轢に葛藤を抱えながらも
    具体的な場に落とし込み、成果を出していく力になります。

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